ほぼ月刊IVL通!

中国アイデンティティファイブプロフェッショナルリーグの記事を中心に細々と更新しております。

ナイトメアの「18歳」という楽曲と、未成年選手たち

 中国の政策により、2021年9月から未成年者のゲームプレイ時間が大幅に制限され、未成年者がゲームによってお金を稼ぐことが規制された。それによって、第五人格プロフェッショナルリーグで選手登録をしていた多くの未成年選手達がチームを離れることとなった。

 クラブから正式な離脱の発表はないものの、2021年秋季からのメンバー一覧に彼らの名前はもちろんない。クラブに残っている選手も、もちろん存在しているし、その逆で既に去った選手もいる。

 世界大会であるCOAⅤ、その予選には参加できなくとも、もしチームが予選を通過し世界大会へ進出することが決定すれば、その頃には18歳を迎えているので、COAⅤに参加できるという選手もいる。しかし、もちろんそのような選手ばかりではない。現在16歳の選手は、これから約2年も足踏みをしていなくてはならない。

 彼らのもどかしい現在の状況に、わたしは一つの楽曲を思い出していた。

 それが、ナイトメアの「18歳」という曲である。

 

 ここでナイトメアというバンドを少しだけ解説していきたい。彼らは結成22年目の、所謂ヴィジュアル系というカテゴリーに属しているバンドだ。2003年にメジャーデビューをした彼らの楽曲は「DEATH NOTE」や「魍魎の匣」など、最近では「デュエル・マスターズ キング!」などの有名なアニメの主題歌にも多々選ばれている。「DEATH NOTE」は第五人格ともコラボレーションをしていたので、もしかしたら彼らの楽曲を聴いたことがある方もいらっしゃるのではないだろうか。

 「18歳」という楽曲は彼らの4番目のアルバム、「The WORLD Ruler」に収録されている。何故、彼らの楽曲と未成年選手達が重なったと感じたのか。それはヴォーカルYOMIが書いた歌詞にある。

大人たちが決めた規則に 身動きすら取れずに

悔しさと空しさだけが 胸にこみ上がった

何時だって不安は消えずに 夢を追いかけている

空白の未来は果てなく 孤独と揺れながら

出典:YOMI「18歳」

 この歌詞は現在の中国の若者の気持ちを表現しているのではないか。彼らは政府の政策に抗うこともできず、そのまま大人たちの決めた通りに流されることしかできない。彼らは悔しさや空しさという気持ちを持ちつつも、決まったことだし仕方ないのだ、と諦めているのだろう。

 ナイトメアがこの楽曲を発表したとき、彼らは既に18歳という年齢を過ぎていた。作詞を担当したYOMIはきっと自分達がバンドを始めた頃、つまり高校を卒業する年齢である18歳ぐらいを思い出して作詞したのではないだろうか。海外では成人の年齢である18歳は日本ではまだ未成年。その年齢を彼らは子供と大人の狭間である年齢と考えていたのだろう。確かに、その時期は自身の生き方というものにとても迷いが生じる年齢であるし、現実というものが見えるだけに、夢を純粋にただ追い続けるということができなくなってくる年齢だ。YOMIもそれを理解していて、こう歌詞に綴っている。

仲間と共に輝ける 場所へ走れるはずさ

あこがれていた素晴らしい 景色きっとこの手に

だけど自分に正直に 生きるのは難しい

どんな生涯も乗り越える 強さが足りなくて

出典:YOMI「18歳」

 この歌詞は2021年夏季で輝いていた未成年選手達の姿と重なる。彼らはプロという輝かしいステージで多くの戦いを繰り広げ、嬉しさも悔しさも、いろいろな感情を経験していた。しかし今ではそれを経験することができなくなっている。正直に、自由に生きられるのであれば、彼らはクラブを去りたくはなかっただろうし、クラブにいても直接仲間を助けられずに何もできない、というもどかしさを経験しなくてもよかった。しかし、中国では様々な理由から自由に生きる、ということはできない。そこで生きていく以上仕方ないことだ。中国政府も未成年者のゲームのプレイ時間に対する問題について、以前から頭を悩ませていただろうし、それを踏まえての政策だということも分かる。ただ、行き過ぎた政策であるということも確かだ。

 ただ、この「18歳」という楽曲は現状を嘆いているだけの歌詞ではない。信じて進めば夢を叶えるということができる、という曲でもあるのだ。楽曲の後半はこのような歌詞になっている。

二度と戻らない瞬間に 後悔しないように

今できる事の全てを 解き放っていこう

強く願えば願うほど 夢に近づけるから

誰にも負けないぐらいに 夢を想像して

出典:YOMI「18歳」

 人生は、全て二度と戻らない瞬間だ。夏季で活躍していた未成年選手達もそう感じて試合に臨んでいたと思うし、その時その瞬間、できることの全てを試合にぶつけてきたはずだ。今は身動きが取れずに、もどかしい状況が続いていたとしても、そこからでもできることがある。実際、クラブに残っている選手は、他の選手達を間接的にサポートしているし、試合に出られないとしても彼らが傍にいてサポートし、励ましてくれるということは心強いはずだ。形は変わったとしても、彼らがクラブの一員であること、大事なメンバーであることには変わりはない。

 クラブに残ることを決めた未成年者も、クラブを去る決断をした未成年者も、どちらの決断も尊重したいと思うし、どちらの決断も決して間違いではない。彼らには彼らの生き方があるし、自分で決めて、自分が思うように進んでいって欲しい。彼らの未来が輝かしいものになるであろうことを祈って。

曖昧な自由に抱かれて 進むこの道を

不確かな明日を信じた 迷う事無く

出典:YOMI「18歳」

 

 最後に、ナイトメアの4枚目のアルバムである「The WORLD Ruler」は「DEATH NOTE」のOPである「The WORLD」も収録されており、初期の彼らが作り出したアルバムの中でも非常に完成度の高い一枚になっている。この記事で紹介した「18歳」も聴きやすい楽曲であり、気になった方には是非とも聴いてもらいたい一枚だ。

2021秋季プレーオフ延期についてあれこれ

 新年、明けましておめでとうございます。本年もマイペースにIVLに関する記事をちょこちょこと書いていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 

 さて、昨年の大晦日から今年の三が日にかけて成都で行われる予定だったIVL2021秋季プレーオフですが、初日の第2試合から急遽中止となり、今月1月13日から16日まで広州にて改めて行われることになりました。

 これは新型コロナウイルス感染症対策でもあると思うのですが、第2試合の最中に突如中断となり、結局は中止となるという異例な状況でした。ですが試合の最中に中断、とならなかっただけまだ良かったです…。

 秋季プレーオフは当初、観客を入れての開催となる予定でした。ですが、会場設営も完了し、正に開催直前で政府の通達があり、観客を入れての開催を急遽断念。その経緯から運営サイドは新型コロナウイルス感染症対策をかなりしていたとは思いますが、やはり選手や運営が本拠地である広州から成都へ遠征しての開催、ということがもしかしたら政府に睨まれてしまった要因とも言えるかもしれません。また、秋季プレーオフは中止になったのに、他のイベントは開催できているという事実もありますし、現在はゲームのイベント自体が政府からあまりよく思われていないのかもしれません。

 中国政府があまりゲームをよろしく思っていないことは、直近の未成年者への規制や過去の様々な事実からよく分かります。若年層のゲームやインターネット依存というのが大きな理由でしょう。政府は企業にゲームライセンスを停止するなどの規制を強化し、中国産のゲームはますます衰退していくのではないかなと個人的に感じています。第五人格以外の様々なタイトルが日本国内、そして世界でも人気ですし、そのゲームに夢中になっている方も世界中で大勢います。まさに今が稼ぎ時、なのに企業に対して規制を強化する、というのは中国自体に大きな影響を与えるのではないでしょうか。現にゲームライセンスを停止したことで昨年は多くの企業が倒産をしていますし、すでに中国国外に拠点を移している企業もあるようです。

 企業に対しても縛りを強化する政府ですから、これから国内のe-Sportsのクラブや選手達に対しても規制をしてくるのではないかな、と思ってしまいます。IVL以外にも世界的に人気ゲームであるLeague of LegendsのプロリーグであるLPLや、中国国内で大人気の王者栄耀のプロリーグであるKPLなど、中国には様々なタイトルのプロリーグがありますし、そこにまで規制が及んでしまったらどうなるか…。以前の未成年者への規制のこともありますし、中国政府の動向も少し気にしていくことも、e-Sportsの選手達を応援していく上でもしかしたら必要なのかもしれません。

 さて、秋季プレーオフですが現段階で一番有利なのはFPX.ZQなのではないかなと思います。彼らはACTをストレートで破り、次の勝負の対策ができる段階にあります。一度勝てているということは彼らに自信がつくことでしょうし、大会慣れをしている彼らにとってなかなか有利なのではないでしょうか。そして久しぶりにiron選手が戦線に復帰しましたね。COAⅤ予選まではお休みだと思っていたので驚きました!やはり下から優勝を狙うとなるとこの4人の編成は安定していますし、Afu選手も安定しているので、FPX.ZQの優勝もあるかな?と思ってしまいます。

 

 思わぬ延期もありましたが、5チームそれぞれ優勝を狙っているはずです!プレーオフ開始までの期間に対策を練る時間はまだまだ十分あります。どのチームも最後まで諦めずに頑張って欲しいです!

 試合開始は1月13日 日本時間13時から! 第1試合はWolves VS GG からスタート!

 今年もIVLから目が離せません!

IVL戦隊メンバータイムライン

 移り変わりの激しい戦隊メンバーもこれを見ればどの期間にどのメンバーがいたかが分かりやすいはず。

メンバーの変動があった場合、随時更新しています!

メンバー一覧は第5人格e-SportsWiki様を参考させていただきました。

 

 

 

 

アイデンティティファイブ プロフェッショナルリーグ2021 秋季プレーオフを見てくれ

 早いもので2021年も残るところあと数時間。

 ですが、IVLはこの年末年始に2021年の秋季プレーオフが開催となります。日程は2021年12月31日から翌年2022年1月3日までの計4日間。昨年は年が明けてからの開催でしたので、今年は1週間ぐらい早まったかなと思います。

 秋季プレーオフ成都での開催となります。当初は観客を入れての開催を予定されていましたが、新型コロナウイルス感染拡大予防のため、急遽観客を入れての開催は中止となりました。各クラブもファン達もがっかりしていますが、最近猛威を振るっているオミクロン株は非常に感染しやすいこともありますし、こればかりは仕方がないことなのかなと思います。

 そして今回から開催日程が1日伸びました。去年から言われていましたが、選手達の拘束時間があまりにも長いという問題がやっと反映されたなと思います。プレーオフは予選とは違いBO5、先に3勝した方の勝利となり、選手達の疲労を心配する声も前々から上がっていましたし、例えば前回のプレーオフでは敗者から勝ち上がってきたWolves戦隊は連戦続きでかなり疲れていたと思います。寝具持参で少しでも疲れを癒そうと横になっていた選手や、少しでも寝たら絶対に起きれなくなるからと言って休めなかった選手、そしてHuan選手はエナジードリンクの飲みすぎで鼻血を出していた、なんてこともあったようで…。それでも決勝戦以外は連戦が続く戦隊が今回も出てくるでしょうし、試合開始時間を早めた方がいいんじゃないかな…?とは思ってしまいますが。

 プレーオフも秋季予選同様のルールとなっております。予選終了からプレーオフ本戦までの時間が短かったこともあり、変更点はなしです。プレーオフなので試合は全てBO5、先に3勝した方の勝利となります。

 ここからはプレーオフに進出した戦隊の印象を挙げていこうと思います。

 

予選1位通過 Wolves戦隊

 予選最終日にまさかの逆転でWolves戦隊が1位通過です。

 彼らはほぼ隙がない戦隊と言っていいかなと。大魔王と呼ばれているDOU5のDongX選手ですら未だ彼らにどう攻めたらいいか迷い続けているのでは?と感じるほどです。それでも彼らも調子が悪いときは悪いですし、絶対に勝てないというチームではないはずなのですが。

 彼らは勝負強いのかなと感じる場面は多々ありますし、サバイバーが不調であればAlex選手が勝負に出るということも予選でありました。不安点を挙げるとするならJelly選手の手の調子でしょうか…予選中からマッサージ器を持ち込むほどの具合ですし、プレーオフに響かなければいいのですが…。

 COAⅤに一番近いのは彼らでしょうし、秋季も勝って前回は予選落ちで悔し涙を流したCOAへ一番乗りしたいはず。

 

予選2位通過 DOU5戦隊

 予選最終日にまさかの転落。予選終盤は要であるDongX選手の調子が悪いかなという感じです。

 サバイバーも悪くはありませんが、やはりほぼ全勝で予選を通過した夏季からはやや落ちたかな?という印象を受けますし、やはりチームの要であるDongX選手の調子に左右されるチームだなと感じています。とはいえ、最強ハンターであるDongX選手は、試合展開も脳内で把握できるほどの頭脳の持ち主ですし、彼の調子が悪くなるときは心理状態が悪いときなので、プレーオフも決勝までは順調に進めるのではないかなと思います。

 DongX選手は優しい性格ですが、試合に優しさはいりませんし、どの試合も気持ちを強く持てば勝てると思います。問題がなければCOAⅤに大手をかけることができると思います。

 

予選3位通過 MRC戦隊

 夏季予選では何度も悔しい思いをしていた彼ら。秋季からは新たな編成となって久しぶりにプレーオフに進出。

 夏季では絶不調だったXC選手の調子がなんとか戻ってきたこと、そしてサバイバーが2名新たに加入したことで順位がここまで上がってきたなと思います。彼らはXiaoD選手率いるサバイバーありきのチームではありますが、秋季は上手くサバイバーとハンターのバランスが取れていたのではないかなと感じています。

 不安があるとするなら、サバイバーが緊張してしまわないかということ。XC選手はCOAⅣの土壇場で4吊りしたこともあり、大舞台ではさほど緊張しないタイプだと思いますが、久しぶりのプレーオフ、そして初戦から大魔王DongX選手との対戦なので、サバイバー4人が過度に緊張しないことを祈っています。

 

予選4位通過 GG戦隊

 GGは予選後半に調子を落としてしまい、最終的に4位でフィニッシュ。

 彼らの癖というか、前半は調子が良くても後半に疲れが出てしまい、そこで調子を崩すということがほぼほぼあります。そして秋季予選の試合前のチーム動画でもそれをネタにされてしまっていました。今回も予想通りそうなってしまったようです。

 秋季からハンターはxawm選手の一人体制になりましたが、そこまで不安はないです。彫刻家や血の女王で4吊りができるのは素晴らしいと思います。そして予選では久しぶりのヴァイオリニストでも4吊りしていましたし、手数を着実に増やしているのはすごいです。プレーオフでの問題はサバイバーかなと…夏季プレーオフもKucao選手や当時在籍していたZzai選手は普段通り落ち着いていましたが、18選手やkoko選手はとても緊張していましたし、今回は新たにスタメン入りしたXen選手もいますから、夏季よりもガチガチにならないといいのですが…。

 

予選5位通過 ACT戦隊

 ACT戦隊は夏季に引き続き、秋季も予選通過です。

 ACTがここまで伸びた理由としては、ハンターのYue選手がコツコツ頑張って努力を重ねてきた結果がやっと目に見えてきたことがあるのではないかなと思います。夏季プレーオフもそうでしたが、苦手な破輪を練習して使えるようにしたり、今回は漁師を頑張って練習し使えるようにするなど、ACT全体にも言えることですが、彼らはコツコツ努力をして力を伸ばしていく戦隊なのではないかなと思います。

 サバイバーも悪くはないのですが、立て直しを優先してしまった結果、解読が進まずに4吊りという結果が何度かあったので、立て直しよりも解読を進めた方がいい場面を焦らずに見極めることが必要なのかな、と思います。

 

予選6位通過 FPX.ZQ戦隊

 前半でかなり遅れをとった彼らがギリギリ予選通過。

 彼らがここまで順位を落としたのはこれが初めて。原因としてはAfu選手の不調とiron選手の腱鞘炎、あとは上手くサバイバーが噛み合っていなかったことではないかなと。やはりいろいろなサバイバーを使えるのがLong選手だけというのはチームとして痛いかなと…。

 彼らは去年の夏から非常に運が良かったチームだと思いますし、運が普通ぐらいになった現在のチームの能力的にはこのぐらいなのかなと感じてしまいます。それでも後半で追い上げてきたのはすごいなと思いますし、そこは彼らの底力かなと。

 それにしても、後半からの加入連発で多くのメンバーを抱えているチームのはずなのに、一度の失敗でそのメンバーを出さないというのはもったいないなと感じてしまいます…。

 

 どの戦隊も優勝すれば世界大会であるCOAⅤに一番乗り!最後の最後まで諦めずに画面の向こう側にいるファン達の声援も力に変えて頑張って欲しいです!

 秋季プレーオフは2021年12月31日から!年末年始はIVLで決まり!

 

noteからお引越ししました。

相当おまたせいたしました!

個人サイトを制作する予定でしたが、どうするか迷った結果、一度はてブロさんでお世話になることにいたしました。

とりあえずしばらくははてブロさんで記事を書いていこうと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

過去記事もちょこちょここちらに移行する予定です。

MRCはMiracleだったのか 2021夏

例え絶望の中でも、絶対に奇跡を諦めるな

 

 COAⅣを最後にメンバーチェンジを行い、サバイバー、そしてハンターを迎え新たなメンバーで2年目の夏季予選に臨むことになった彼ら。しかし、そんな彼らに連敗という大きな壁が立ちはだかることとなる。勝てないという絶望の中、彼らが見出したものとは何だったのか。彼らに今までのような奇跡は訪れたのか。

 

第3期MRC メンバー紹介

 

・小程 XC

 旧MRCから唯一残ったメンバーであり、MRCのメインハンター。今シーズンは絶不調。今まで以上に勝てない苦しみを経験することとなる。

 夢の魔女を得意とする。他の使用キャラは破輪、血の女王、“使徒”、彫刻師等。お調子者でチームのムードメーカー。MRCの太陽。

 

・小迪 XiaoD

 MRCの司令塔。ファンから老師、公主と呼ばれるランク上位の人気プレイヤー。使用キャラは機械技師、祭司、冒険家、占い師等。

 俺がファーストチェイスを引けば必ず勝利する、と豪語する程、チェイスの駆け引きが上手い。チェイスをしながら指示出しができる、稀有な存在。

 

・清唱 QingC

 小迪の相棒にしてMRCのパパ。使用キャラは傭兵、占い師、野人、"囚人"等。

 どっしり構える縁の下の力持ち。やや感情の沸点の高い小迪を窘める役目も受け持つ。無傷救助が得意。

 

・老怪咖 Weirdo

 危なっかしく何となくハラハラするプレイが多いが、決めるときはしっかりと決める。使用キャラは主にオフェンス、傭兵の救助キャラ。

 高身長に整ったクールな外見とは真逆で、おしゃべりで歌うことが大好き。小程と合わせてチームのムードメーカー。努力家。予選後半からは指示出しも受け持つ。

 

・奈奈 Nanako

 アマチュア戦隊からMRCへ移籍した新サバイバー。主にチェイスを担当。使用キャラは画家、調香師、祭司、占い師、昆虫学者等。

 いつも飄々としているMRCの二代目ポーカーフェイス。彼が画家を使用することで活路を見出したことがMRCに光を与えた。

 

・艾克 1K

 アマチュア養成所である、第五学園出身の新サバイバー。秋季後半からは清唱に代わりメインサバイバーとして試合に参加することが多くなる。使用キャラは傭兵、昆虫学者、バッツマン等。

 調理系の専門学校に通っていたこともあり、料理が得意。自分で作った料理をWeiboに上げたりしているが、映える写真を撮るのはどうやら苦手な様子。

 

・日暮戈薇 Kagome

 アマチュア養成所である、第五学園出身の新ハンター。第五学園内では最強ハンターであり、その能力を期待されMRCに加入。使用キャラは破輪、夢の魔女、彫刻師、ガードNo.26。

 控え目で大人しいのかと思いきや、緑の怪物の被り物を被ってCC最強音に参加するなど、意外とおちゃめな面も。試合中は眼鏡を外す派。

 

 2021年夏季、彼らを最も苦しめたのは何よりも新しくなったBAN・PICK。彼らがそれを理解するまでに予選の前半を使ってしまったことが大きな要因であった。BAN・PICKは勝敗を大きく左右するものであるし、彼らなりにいろいろ相談し考えて決めているとは思うのだが、試合が始まる前の心理戦で対戦相手に有利にさせてしまっていたということが、彼らの連敗を決定づけてしまう一つの原因でもあった。試合を見ているうちに分かってくることだが、サバイバーは手堅い編成というのがあり、どのチームをそれを理解し選択していた、しかしMRCは得意としているキャラクターを選択することを優先するあまり、それを自ら手放していた編成さえもあった。

 

 他の原因としては、メインハンターである小程の不調だ。彼は去年から度々不調に悩まされてきたが、今回は今までにないほどの絶不調で、彼の調子が悪かったことも連敗の原因だった。ハンターは二人いるのに絶不調の小程ばかりが試合に出ていたのは、こればかりはどうしても筆者の予測になってしまうが、戈薇がまだ若く公式試合の経験が少ない選手であり、試合に出せるまでのレベルには達していなかったからかもしれない。彼の練習量を増やすなどチーム内で意識を変えるべきだったのではないかと、今ではそう感じてしまう。

 

 もう一つ、原因はある。ハンター不調の陰に隠れてしまっているが、サバイバーの不調。今シーズンから奈奈がメインに入ったが、彼が画家という活路を見出すまではサバイバーの足並みもなかなか揃わなかった。選手一人ひとりに合うキャラクターとそうではないキャラクターがある、彼らはそれを見つけ出すまでにも時間がかかってしまったのではないだろうか。

 

 連敗が続けば、彼らの士気が下がるのと同時に応援しているファンの熱も冷めていく。負けたことに対する叩きも相当なものであり、ファンでさえも彼らが勝利するということを諦めているようにも見えた。これを書いている筆者も、夏季予選で彼らが一度でも勝利するということはないのかもしれないとさえ考えていたし、今までできていた彼らを信じるということが、これほどまでに難しく辛いものなのか、ということを改めて感じた。前半を全敗で終えた際、後半は彼らのホームが多いから勝てるのではないか、後半で全勝すればプレーオフに進出できるのではないかと思い、淡い期待を抱いていたものの、後半初戦のGr戦で逆転負けしてしまったときに、もうこれはどのチームにも勝てないのではないか、とまで考えてしまったほどだった。彼らは正に絶不調としか言いようがなかった。

 

 後半2戦目、Wolves戦。Wolvesはサバイバーが特に優れているチームであり、チームも絶好調。そのため、MRCは前回に引き続き負けるのではないか、と予想されていた。この試合はMRCがホームであり、最初のマップ選択権はMRCが持っていた。彼らが選択したのは軍事工場。夢の魔女が得意とするマップだ。第1ラウンドはWolvesが先行。MRCがPICKしたサバイバーは、占い師、オフェンス、"囚人"、そして画家。WolvesのPICKは得意としているガードNo.26。ファーストチェイスは"囚人"。所謂爆速パと呼ばれているこの編成で狙われてしまうときついと感じるキャラだが、使用しているのは清唱。チェイスもできる彼がなんとか他のメンバーの解読時間を稼いでいく。椅子に吊られた"囚人"を、ハンターが油断し移動している最中にオフェンスが無傷救助。ガードNo.26が相手で無傷救助ができるのは大きい。"囚人"が再度吊られてしまうが、使い鳥をつけたオフェンスが再度救助を成功。ハンターが"囚人"を飛ばそうと追いかけるも、オフェンス、そして画家に気を取られている間に通電。引き留めるがついていたものの、一度もアイテムを使用していない画家が上手くアイテムを二度使用しハッチ逃げを決め、4逃げを達成できたことが彼らの今シーズン初勝利への道を作り上げた。

 

 しかし、相手もそう簡単に勝ちを譲ってはくれない。ここでも小程はやはり不調。得意である夢の魔女を使用し、早めに機械技師を飛ばし、2吊りはできそうな所を祭司に稼がれてしまい、通電後引き留めるで狙うキャラを間違えた小程はラグビーボールが残っていたオフェンスにハッチを与えてしまい、結局3逃げされててしまう。

 

 第2ラウンドは聖心病院。相手の得意なマップだ。引き続きWolvesが先行。MRCのPICKはオフェンス、傭兵、冒険家、野人とCOAⅣまでに見られた救助が手堅いラインナップ。対する相手のPICKは彫刻師。相手に有利なマップだ。ファーストチェイスは奈奈の傭兵。彼はチェイスが得意であり、傭兵の肘あてを使用し解読時間を稼いでいく。肘あてを使い切り、ダウンしたところでこの編成で一番解読が遅い野人がほぼ解読終了。チェイス中に冒険家の宝探しの邪魔をしなかったため、初吊りで2台解読が終了。野人が救助に成功し、ここからは傭兵がセカンドチェイスで残りの解読器を上げる時間を稼ぐのが重要。冒険家、そしてオフェンスがそれぞれ解読器を1台上げ、解読の残りは半分。傭兵が吊られてしまうも、オフェンスはラグビーボールをまだ一度も使っていないため、救助前と救助後にタックルを決め、傭兵がダウンしたところで通電。引き留めるを持っていたために連続での4逃げにはならなかったものの、余裕の3逃げで初勝利へ王手をかけた。

 

 第2ラウンド後半。相手のPICKは傭兵、祭司、墓守、昆虫学者。小程のPICKは血の女王。鏡を出すのにそこまで障害物がないマップであり、調子にやや不安はあるが、落ち着いていれば勝てると踏んでの選択だろう。ファーストチェイスは墓守。神出鬼没を使用し、ダメージを与えていく。スコップを使用し院内へと逃げ込んだ墓守を倒し、地下へと吊った。ここで救助に向かったのは傭兵。だが傭兵は途中でダメージを受けての救助となってしまう。墓守は祭司の補助があり、院内2階まで逃げるものの、そこは冷静に反対側に鏡を使用し、墓守を見極めてダウンを取る。再度地下へと吊られた墓守を次に救助に来たのは昆虫学者。昆虫の群れを使わずに救助に来た昆虫学者は途中でダメージを受け、墓守の救助には成功したものの、墓守は階段で通常攻撃に当たりダウン。そして逃げ惑う昆虫学者も落下攻撃によりダウン。墓守を地下でしっかりと飛ばし、昆虫学者を持ったまま最後の解読器近くであえて昆虫学者を落とし、上げようとしていた傭兵に展開を読んだ小程はダメージを与え、ダウンさせる。そこで祭司がなんとか解読器を上げるも、相手は引き留めるを持った血の女王。神出鬼没で逃げる祭司を倒し、吊ったところで半ダメージを与えられた傭兵、そして昆虫学者は鏡を出した状態の血の女王に近付くことができず、そのまま2逃げ。引き分けを取ったMRCのストレート勝利となった。

 

 この試合のMVPは奈奈。画家でのハッチ逃げ、そして傭兵でのチェイスが決め手となった。

 

 MRCの勝利に、WeiboのトレンドではMRC勝利がトレンド入りし、多くの人が彼らの勝利を喜んでいた。彼らは長く苦しいトンネルからやっと抜け出すことができたのである。

 

 結局、彼らが夏季予選で勝利した回数は4回。だがその4回全てがミラクルと言えるような試合であったし、今まで勝つことができなかったFPX.ZQを相手に前半ストレート負けした際よりも多い点数でストレート勝利したということは彼らの自信に繋がったのではないだろうか。何より、絶不調だった小程の調子が少しだが上がってきたこと、そしてサバイバーの連携が良くなってきたことは秋季に向けての良い予兆ではないだろうか。

 

 しかし、中国の政策により未成年者の奈奈、そして日暮戈薇。彼らは規制により第五人格というゲームそのものができる時間が週に3時間ほどに制限されてしまうことになり、チームを離れることになってしまった。まとまりはじめた最中、結局MRCのメンバーはまた変わることとなってしまった。

 

 メンバーが変わっても、彼らはまた私たちに奇跡を見せてくれるだろうし、何度負けたとしてもその奇跡を諦めていないはずだ。私たちが彼らを信じ続けている限り、彼らは何度でも立ち上がり、また彼らしか作り出すことのできない奇跡を見せてくれるだろう。秋季予選は間近。奇跡の青年たちよ、次のシーズンへと突き進め。We are Miracles!

MRCはMiracleだったのか 2021春

執念の先にある、奇跡に手を伸ばせ

 

 IVL秋季プレーオフ進出を逃し、年明けにはメンバーも減ったMRC。世界大会であるCOAⅣには予選からの参加となり、MRCが参加するDブロックにはIVLからWolvesとTIANBAの2チームも参加となった。

 彼らはCOAⅣに進出することはできたのだろうか。そして彼らは世界大会でどこまで戦うことができたのだろうか。 

 

第2.5期 MRC選手紹介

 

・小程 XC

 旧MRCから唯一残ったメンバーであり、MRC唯一のハンター。秋季予選から練習を重ね、現在では多キャラ使いへと成長した。

 夢の魔女を得意とする。他の使用キャラは“使徒”、泣き虫、ガードNo.26、結魂者、彫刻師。お調子者の最年少。チームのムードメーカーにして、みんなの弟。

 

・小迪 XiaoD

 新生MRCの司令塔。ファンから老師、公主と呼ばれるランク上位の人気プレイヤー。使用キャラは機械技師、祭司、冒険家、占い師、傭兵等。

 俺がファーストチェイスを引けば必ず勝利する、と豪語する程、チェイスの駆け引きが上手い。チェイスをしながら指示出しができる、稀有な存在。

 

・清唱 QingC

 新生MRCのリーダーにして小迪の相棒。使用キャラは野人、オフェンス、傭兵、占い師、空軍等。

 どっしり構える縁の下の力持ち。やや感情の沸点の高い小迪を窘める役目も受け持つ。無傷救助が得意。

 

・老怪咖 Weirdo

 危なっかしく何となくハラハラするプレイが多いが、決めるときはしっかりと決める。使用キャラはオフェンス、傭兵、祭司等。

 高身長に整ったクールな外見とは真逆で、おしゃべりで歌うことが大好き。小程と合わせてチームのムードメーカー。努力家。

 

・嗨呀 Haiya

 抜けた酒伴仙に代わり、控えからメインとなる。元S1冒険家の実力を持つ。使用キャラは冒険家、傭兵、占い師。

 他のメンバーとじゃれ合ったり子供っぽい面もありながらも、ハンターが煽られたらしっかりと煽り返す、いつも笑顔のポーカーフェイス。

 

COAⅣまでの道のり

 

 チームの絶不調でプレーオフ進出を逃した2020年末。7人だったメンバーはサバイバーの酒伴仙が体調不良で、ハンター兼コーチの莎莎がフェードアウトのような形で抜け、新たなメンバーを探すこととなる。一度は新たなメンバーが決まりかけるも、契約の関係上で成立することはなく、MRCは奇しくもCOAⅢ同様、ギリギリの人数である5人での予選出場となってしまった。

IVL参加チームはゲーム内予選を無条件で通過となり、予選からの参加となっている。予選は4ブロックと敗者復活枠に分かれており、MRCはDブロックで残りの出場枠を争うこととなった。

 

 予選初戦はアマチュア戦隊のXhz。この日は小程の体調不良のせいもあってか、なかなか勝つことができずに2試合目まで引き分けの攻防が続く。勝負の3試合目。場所は湖景村。引き分けが続いた小程は泣き虫を出して勝負に出る。相手チームも3逃げをしないと勝てない中、小程が4吊りを決め勝利。

 予選第2戦と第3戦の相手はWolves。MRC同様秋季プレーオフに進出できなかった彼らも、COA進出に並々ならぬ覚悟を持って臨んでいた。特にサバイバー陣の粘り強さとCOAⅣにかける執念は小程を何度も脅かすほど。それでもこちらも勝ちを譲るわけにはいかない。絶好調のMRCサバイバー陣のハンターの引き止めるが切れる前に板越え加速を利用し成功した4逃げ等の活躍もあり、予選Dブロックをストレートで通過することができた。

 

奇跡に手を伸ばせ

 

 COAⅣ、MRC初戦の相手はweibo。IVLでの対戦結果からしても互角の相手。そして初戦で顔を合わせて対戦するのはMRC対weiboのみということもあり、試合の行方はどれだけ緊張せずに普段通りのパフォーマンスができるかにあった。

 1試合目のマップ選択権はweibo。彫刻師と相性のいい赤の教会を選択されてしまい、夢の魔女を最初に選択するMRCとしてはやや不利。神出鬼没を上手く避けられてしまい、引き分けに。サバイバーも3逃げしたいところだったが、無理せず2逃げに留めた。

 2試合目のマップ選択権はMRC。予選で上手くいった経験からレオの思い出を選択。しかしここではweiboサバイバーの一枚上手の連携の良さに負けてしまう。サバイバーも読みを間違えたpickで3吊り。weiboが勝利に王手をかけることになる。

 運命の3試合目。ここで小程は勝負に出る。マップは永眠街。ここで4吊りできなければ確実に負け。そんな状況で彼がpickしたのは泣き虫。ここで自分が絶対に4吊りする、その可能性に賭けた。プレッシャーや緊張、その重圧にたった一人で立ち向かう小程に、チームメイト、そして会場にいる多くのファンの声援が彼の背中を押す。彼は不安を押し退け、最後まで諦めずに見事に4吊りを成し遂げてみせた。サバイバーが2逃げすれば勝ち。しかし、weiboは彼らを勝たせてはくれなかった。相手のpickは夢の魔女。3試合目で対峙するにはあまりにも強いキャラクター。サバイバーのスポーン位置も悪く、奮闘し最後まで足掻いたものの結果は4吊り。ここで彼らのCOAⅣは終わりを告げた。

 

 結果は16強で終わってしまったCOAⅣ。しかし、あの場で小程が4吊りできたように、彼らは奇跡に手が届く瞬間を感じたはずだ。それでもまだ、目指している世界の壁は厚い。苦い経験ではあったものの、メンバー一人一人、また新たな目標も見つかったはずだ。

 

 また今年も長い夏が始まる。ライバル達も新たなメンバーを揃え、本気でIVL王者を目指している。選手に復活した酒伴仙は他チームに加入しMRCのライバルとなり、上位ランカー達も他チームに加入するなど強敵揃い。MRCもここまで一年間共に戦い続けてくれた嗨呀、そして莎莎との別れを乗り越え、3名の新たな仲間を迎え、IVL王者を目指し一致団結し戦いの準備を進めている。まずは予選突破。一年ぶりとなるプレーオフ進出を目指す。奇跡は、諦めなければ必ず起こせる。

 

奇跡の青年達の戦いは、まだまだ続く。