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MRCはMiracleだったのか 2020夏

旧MRC曰く、『私達は奇跡を作らない。MRCは奇跡そのものだから』と。

 

 旧MRCはCOAⅢ直前にリーダーとメンバー間の意見の相違から、相次ぐメンバーの離脱にハンターが急遽サバイバーへと転向するなどボロボロになり、COAⅢの出場はなんとか果たしたものの、結果は奮わずチームは崩壊。残ったメンバーはハンターである小程のみだった。

 去って行った旧MRCリーダーがたったひとり残った小程へと残したもの、それは戦隊名であるMRC、新たなメンバー、そして掴んだプロへの切符。

 

 これが、新生MRCの誕生である。

 

 現在、プロチームでアマチュア時代から戦隊名がそのまま残っているチームが2チームある。

 COA絶対王者であるGr、そしてMRCだ。

2チームの大きな違いはメンバーの入れ替えがあるかないか。

Grはプロ移行の際、増員こそあるものの、COAⅢからの減員はなし。

一方、MRCは小程以外は総入れ替えとなった。

 

 新生MRC、彼らは今シーズン、奇跡を起こせたのだろうか。

 

選手紹介

 

・小程 XC

 旧MRCから唯一残ったメンバー、且つ唯一のハンター。

 夢の魔女を得意とする。他の使用キャラは血の女王、ヴァイオリニスト、結魂者。お調子者の最年少。チームのムードメーカーにして、みんなの弟。

 

・小迪 XiaoD

 新生MRCの司令塔。ファンから小迪公主と呼ばれるランク上位の人気プレイヤー。使用キャラは調香師、機械技師、占い師、祭司、バーメイド等。

 俺がファーストチェイスを引けば必ず勝利する、と豪語する程、チェイスの駆け引きが上手い。

 

・清唱 QingC

 新生MRCのリーダーにして小迪の相棒。使用キャラはオフェンス、傭兵、占い師、機械技師、「囚人」等。

 どっしり構える縁の下の力持ち。やや感情の沸点の高い小迪と酒伴仙を窘める役目も受け持つ。

 

・酒伴仙 Jiu

 彼にならどのキャラを任せても大丈夫と思わせる程、安定感のあるサバイバー。使用キャラは主に墓守、空軍、傭兵。

 以前のチームにいた頃のイメージとは180度変わり、クールかと思いきや、意外とやんちゃ。他のメンバーにプロレス技をかけたりする子供っぽい面も。

 

・老怪咖 Weirdo

 元ALoリーダー。危なっかしく何となくハラハラするプレイが多い。使用キャラは傭兵、オフェンス、祭司等。

 高身長に整ったクールな外見とは真逆で、おしゃべりで歌うことが大好き。小程と合わせてチームのムードメーカー。

 

・嗨呀 Haiya

 唯一の控え選手。使用キャラは占い師。出場は2回程だが、他サバイバーへのサポートにて存在感を放つ動きを見せた。

 他のメンバーとじゃれ合ったり子供っぽい面もありながらも、他のメンバーの配信の場を繋いでくれるなど、気さくで意外と指先が器用。

 

・四宮

 新生MRCのコーチ。ハンターパソコン勢の上位ランカー。コーチとして陰ながらメンバーを支える。

 真面目そうな外見からは想像できないが、意外とメンバーとじゃれ合ったりしていることも。

 

奇跡は作り出せたのか

 

 新生MRC。シーズンが開始された頃の彼らの印象は、サバイバーが失敗しなければ勝てるチーム。その印象だった。と言うのも、サバイバーがどう見ても3人と1人のチームとしか見えなかったからである。

 それもそのはず、小迪、清唱、そして酒伴仙は以前から同じ戦隊に所属していたチームメイトであり、3人でMRCに移籍してきたのだ。一方、ALoから1人移籍してきた老怪咖と3人の歩調がなかなか合わず、シーズン序盤はハンターの小程任せになる展開が多かった。老怪咖がミスをし、試合終了後に怒る小迪、窘める清唱。そんな二人を見る酒伴仙。そして固まる老怪咖の姿が何度も映し出された。そうなってしまうと、頼りになるのは小程。危ういサバイバーをカバーし、チームに勝利をもたらしていく。

しかし、対戦相手のサバイバーもそう簡単に勝たせてくれるはずはない。シーズン中盤に差し掛かる頃は小程任せで勝ちを掴むこともなかなか難しくなってきた。

 

 そんな不安定なサバイバーが明らかに変わったのは1度目のGr戦。1回戦はMRCが勝利するものの、2回戦はGrに取られてしまう。次のセットを取られる訳にはいかない。追い込まれたMRC。

負けられない試合、ここでサバイバーはチームで初の4逃げを決め、ハッチ逃げをした酒伴仙がMVPとなった。チームの足を引っ張ることなく逃げることのできた老怪咖は勝利が確定した瞬間、思わず涙を流し、泣くとは思わなかった3人が困惑するという、少し変わった場面が映し出された。

 

 そこからはサバイバー・ハンター共にお互いをカバーし合いながら勝利を掴んでいく。2度目のWolves戦でもサバイバーが再び4逃げをし、今度は老怪咖がハッチ逃げを決めることに成功。試合前に笑顔が増えるなど、サバイバー達は余裕のある展開を見せるようになっていった。また、小程も血の女王の鏡やヴァイオリニストの弦の精度を上げ、夢の魔女以外のキャラを使用した際の勝率も上げていく。初戦では負けてしまった、DOU5、GG、TIANBA戦でも勝利し、予選2位でプレーオフ大会へと駒を進めた。

 しかし、プレーオフ大会では緊張を上手くコントロールできず、予選のような動きのできなかったMRCはDOU5、そしてGGに負け、4位で夏季を終えることとなる。

 

 予選からプレーオフまでの彼らは、不安定な面もありつつも、それをカバーするために個々に成長を続けていたチームだと取れる。予選序盤では、正直なところMRCがプレーオフに駒を進めることは難しいと感じていた。サバイバーとハンター、どちらかに勝負を任せてしまっていては勝利できない。彼らもそれを実感したからこそ時間が足りない中でもチームでの練習を重ね、成長していったのだろう。これは奇跡ではなく、努力の物語だ。

 

 では、一体何が彼らの奇跡だったのか。

 

それはやはり、このメンバーが揃っていたこと、これに尽きる。序盤では不安要素の見られたサバイバー達も足並みが揃わなかっただけであり、個人ではしっかりとプロで戦える素質や能力はあった。もし、誰かが欠けていたとしてここまで戦えていたであろうか?ここまで強いチームにはなれていなかっただろう。

 

 夏季プレーオフを終え、秋季予選が迫っている。その間も彼らは腕を磨き、日々チームでの鍛錬を欠かさない。秋季予選は夏季予選よりも辛く厳しいものになるだろう、しかし、どんな状況になっていても最後まで諦めることのない彼らはきっと成し遂げることができるはずだ。

 

 秋季プレーオフ、次こそ王者へ。取りに行く、奇跡のメンバーで。

 

 We're Miracles.